この問いに対する私の解は単純だ。すなわち勉強不足である。「そんなことはない。私は中学校から大学まで10年以上勉強してきたんだ」と反論されるかも知れない。だがその間に、あなたは1日に何時間英語を使いましたか。そして今、使っていますか。
私が中高生のころ(何十年前の話だろう)、英語の授業は、せいぜい週3から4時間であった。これは、1週間の生活時間割合で言うとたかが数パーセントだ(1日18時間起きているとして、1週間で126時間。英語の時間を仮に4時間としても約3%!)。しかもその内容の多くは、テキストの音読と文法の学習だった(今はそうでもないらしいが)。たったこれだけの時間で英語を使いこなせるほど普通の人間は優秀ではない。日本語と英語の発音や文法の違いを挙げる人もいるが、その点については別の機会に述べたい。
ここまで述べれば、英語を使えるようになる対策は明確だろう。つまり、より多くの時間、英語を使えばいい。「でも、周りにネイティブスピーカーなんていないし」と言い訳を言うかもしれないが、ネイティブである必要などない。世の中には、ネイティブでない話し手の方が多いのだ。そして彼らは、英語を使って立派にビジネスをしている。日本人同士で切磋琢磨しても構わない(できれば、文化の異なる外国人相手が望ましいけれど)。
「それでは『正しい』英語が学べない」って言うだろうか。 どうにも自分に自信がない人ほど「正しさ」にこだわるが、おそらくは自分以外の外的な基準、正しさにこだわらないと安心できないからではないか。英語において、異文化コミュニケーションにおいて、もっとも重要なことは、伝わることである。そして伝えるには、話さなければならない。日本人以外の多くの国民、民族には、言葉にしなけりば何も伝わらないのだから。