いろいろ司法書士について学んだりして、「司法書士になりたい」などと考えてしまったあなた。司法書士の門戸は常に開かれています。試験を受けるだけなら誰でも受けられます。学歴はおろか、年齢制限すらありません。(「司法書士」として仕事をするには、成年=一般には20歳以上である必要があります。)まずは、その司法書士試験について説明していきたいと思います。
司法書士試験は毎年7月の第1日曜日に行われます。午前2時間、午後3時間の試験です。午前の試験はマークシート(5択)のみ35問、午後の試験はマークシート35問(同じく5択)+記述式2問からなります。午前の試験では民法と会社法の知識がメインで問われますが、憲法、刑法の知識も6問ほど問われます。 午後の試験は、不動産登記法、商業登記法がメインですが、民事訴訟法関係、供託法、司法書士法についても11問ほど問われます。加えて、記述式の試験により、登記に関するより実践的な知識と応用力を試されます。単に運が良いだけでは合格できないのです。
合格基準は、午前、午後、記述、そしてその合計得点と、いずれも基準点を超えていないと合格にはなりません。基準点は試験によって毎年変わりますが、マークシートについては概ね8割できれば基準点は超えるでしょう。
ちなみに、合格率は3%程度です。一気に引きましたね。でも心配は無用です。前述の通り、司法書士試験は誰でも受験できる試験です。つまり、記念受験組(合格する気がない、もしくは合格する実力がまだないのは分かっているが、実力を確認するために受けている人たち)も多数参加しているので、合格率の低さにおびえる必要はありません。まともに勉強して、合格する意思があれば、1年では難しいかも知れませんが、数年以内には合格できる試験です。
でも何から勉強したらよいのやら、と思った方。法律に関してまったく素養がない場合は民法のごく簡単な本から勉強してください。間違っても、いきなり過去問を見たり、六法を暗記しようとしたりしないでください。気が滅入ります。入門者が過去問を見てもチンプンカンプンです。六法は入門者には必要ありません。あれは法律家が参照する書物です。入門書、基本書で一通り法律を学んだ気になった後でも遅くありません。もう買ってしまった方は、棚に陳列しておいてください。
民法を一通り勉強したら、次は不動産登記法を勉強するのがよいでしょう。これを早く確実に解けるようになることが合格への最低条件だからです。基本的に暗記科目なので、やればやるほど実力がつきます。司法書士試験の勉強進捗度合いを測るにも最適な科目です。この頃には、勉強した分野の過去問を解き始めるのも良いでしょう。
民法、不動産登記法を一通り勉強したと思ったら、後の順番はお好きなものからどうぞなのですが、そういわれても困る方は、会社法と商業登記法をセットで勉強しましょう。それが近道です。ただ、はっきりいってこれらの科目ができるようになるには時間がかかります。根気良く勉強してください。
残りの科目、憲法、刑法、民事訴訟法関係、供託法、司法書士法については、過去問でレベルを確認しながら、基本書を読んで勉強していくのがよいでしょう。いずれも突き詰めていくと難しい科目ですが、司法書士試験で聞かれるレベル、範囲は限定されていますし、何より出題数が少ない。できるかぎり省エネである程度の点数を確保することを目標とすべきです。
最後に、記述式試験についても少し書いておきます。記述試験は不動産登記と商業登記について各1問出題されます。その名のとおり、マークシートではなく、答案用紙に登記事項等を文章で書いていきます。 私は記述式試験については、以下の3つのプロセスからなっていると考えます。
1.問題を読み解き、状況を下書き用紙に把握、整理する。
2.出題者の意図に沿った登記の流れを頭の中でまとめる。(紙に書いても良いが、時間が足りなくならないように)
3.解答用紙に登記事項等を記述する。
記述式試験であるが故に、3の記述方法にばかり目が行ってしまい、ひたすら難解な登記を覚えようとする人がいますが、本当に重要なのは1と2の過程です。1の問題の読み解きを誤れば、以後も間違えますし、2がいい加減だと3が書けません。記述事項については、ややマイナーな記載が問われることもありますが、仮にそこを間違えたとしても合否に影響を与えることはありません。3については基本的な記載事項を速く確実に書けるようにしておき、日頃から1,2を意識した勉強をしましょう。これには、過去問や市販の問題集、受験予備校の問題をひたすら解くしかありません。3の対策としては、とにかく毎日基本的な登記を手書きする練習をしてください。
以上、ご健闘をお祈りします。
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